皆川明『Letter』

2020/8/20発売

内容ご紹介

ミナ ペルホネンのウェブサイトで人気のページ「Letter」は、オンラインでの服の販売とともに2011年から始まった。皆川明の手書きの詩と写真を、週替わりで用意し、一枚の紙に印刷して、品物に同封するささやかな試み。ウェブサイトでの連載も同時にスタートした。

「Letter」は、文字通り皆川明からの短い手紙のようであり、詩のようであり、呟きのようでもある。服をつくる気持ちの底のほうにあるこれらの言葉は、わたしたちが暮らすこと、生きてゆくことの惑いを、静かに整えてくれる。

「Letter」は読む者のこころに触れる親密な言葉の集まりだ。どこを開いて読んでもかまわない。くり返し手が伸び、任意のページに惹きつけられる、こころの辞書。くり返し手が伸びるのは、装幀の手触りにも理由がある。

装幀はサイトヲヒデユキが担当。ミナ ペルホネンの印刷物を手がけ、2019年、ニューヨークの老舗リッツォーリが刊行したミナ ペルホネンの本『ripples』のアートディレクションも手がけた。本書『Letter』の装幀は、「クロス装、箔押し、天金、角丸、スピンつき」。刺繍やベルベット、レースなど、忘れられつつあった素材や手法を甦らせるミナ ペルホネンの服のように、本書は古き良き装幀の素材、手法を採用した、特別な仕上がりになっている。

『Letter』の装幀について
サイトヲヒデユキ

ボルドーの布に光を纏うような上製本。言葉をいつも傍にたずさえて手元を明るく照らしてほしい、そんな気持ちから手帖や聖書のような手に収まる装幀にしました。

言葉のカケラが光の粒のようなものとして届くように願ってmina perhonenのテキスタイル、‘star dot’を箔押しでカバーにあしらっています。カバーの角は丸く手作業で仕上げ、本文の天部分は金箔で保護その天金に合わせたアンティークゴールドの花布と見返しを添えて銅(あかがね)色のスピンをあしらっています。薄手の本文用紙は柔らかく、ふんわりとめくれる度に向こう側の光を感じて言葉が重なり合うような感覚を覚えます。

気持ちを穏やかにしたり明るくするもの
道を切り拓く光明のようなもの

そんな心に温かいものが通うような大切な本になって欲しいと思います。

サイトヲヒデユキWEBサイト:https://saicoroworks.tumblr.com/


上製本
布や紙で覆った厚い板紙で綴じた本をくるんでのりづけした本。ハードカバーやハードバックとも言われます。本書は「布クロスの特上細布」(ボルドー色)を使用しています。


天金(金付け)
本の天部分に金箔をつけること。17世紀の西洋で、埃や焼け、虫害などを防ぐ為に施されるようになった装飾と言われています。日本には19世紀にその技術が伝えられ、現在では聖書や手帳、一部の全集などに使用される程度で、その技術ができる加工所も少なくなっています。


花布(はなぎれ)
上製本の本文の背の天地両端に色糸を折り毎に交互に縫いつけ、本を丈夫にするための装飾。現在では織られたものを貼り付ける装飾として残っています。英語ではヘッドバンド。


見返し
上製本の表紙と本文を接合・補強するために表紙の内側にとりつける見開きの紙。本書では「シェルリンプレーン四六Y90kg」を使用しています。


スピン
本の背表紙か花布の間で接着される、栞として使用する平織りのリボン。


本文紙
「OKシュークリーム四六Y62kg」を使用しています。

写真:サイトヲヒデユキ

書籍情報

タイトル Letter
定価 3,000円 + 税
発売日 2020/8/20
ISBN 978-4-908155-08-6
著者 皆川明
発行者 佐藤真
発行所 株式会社つるとはな
印刷・製本 株式会社アイワード